アタシと恋人

恋人は、アタシと初めて出会った次の日に黙ってアタシの手を取って歩き出した。行き先を聞いても何も言わなかった。夜、二人で鏡に映ったおそろいの刺青にキスをした。
出会ってから何度目かの誕生日、もう二人の子供も大きくなった、恋人は、アタシの手を取って黙って歩き出した。恋人の横顔を見つめるだけで、アタシはもう何も聞かない。行く場所はなんとなく分かっているし、どこでもかまわないから。そして恋人は私の髪をかき上げ、指で首筋を触った。子供の名前と同じ花の刺青が恋人からの誕生日プレゼント。
この恋が終わるなんて、ない。愛が冷めるなんて、ない。絶対、ない。誰に聞かれても呆れられてもないものはないんだ。
あるとき、「髪切った?」と人に聞くのが好きな大御所司会者に刺青の由来を言うと「別れたとき、どうするんだろうね」と言われた。アタシは反射的に「別れない」って言った。インタビューでもいつも答えはいっしょだった。終わらない恋。終わらない愛。もし、なんて言葉もないんだ。

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私は、あまりこんな永遠の愛ってやつは好きではない。燃えるような恋の次に嫌いかも。でも、二人には夢を見させてほしかったな。もしかしたら、そんなのもあるかもしれない。もちろん、世間にはあるんだろうけど、見える人で体現して欲しかった。他人事だけど残念。