真っ赤な口紅


もう何年も無難な色の口紅を買っていた。ここ数年は、赤い口紅が欲しいと思っていたが、サンプルをつけてみるとおもしろい顔になってしまい買えなかった。今日、美容院で見た雑誌にシャネルの口紅があり、どうしても欲しくなった。
ネットで安く買うのではなく、デパートで実際につけて定価で買いたかった。外国製品の口紅は、香料がきつく唇が負けてしまって皮がめくれてしまうときもあるので確かめたかったというのもある。買う気があるときに限って販売員は来ないので自分から声をかけてつけてもらった。普通、2種類くらいつけてくれるのだけれど、1種類に絞らされた。その販売員は嫌な感じはないのだけれど、しっくりしない人だった。唇にファンデーションと唇の色がワントーン明るくなるという下地口紅を塗られ、そのあと真紅の口紅を塗ってもらった。鏡を覗き込むと、乾いた肌の上に乗ったファンデーションのせいで、口周りのシワがこれでもかというくらい目立っていた。経費節減のせいか、口紅は少ししか乗せてくれずところどころ付きが悪く、全体的にカサカサで、おまけに刷毛から抜けた毛がたくさん唇についていた。ファンデーションがついた唇の淵が浮いており、口は小さいほうが良しとされた昔の人がそのまま変えずにやっているメイクみたいだった。カサカサのせいで死に化粧にも見えた。
はっきり言って悲惨な顔だった。気分を上げたいから買いに来たのに、間逆に気分が滅入ってしまった。
気に入ってないのは一目で分かるはずなのに、販売員は何も言わずに立っていた。キツイ感じなのでもう少し薄いのはないか、と聞くと、グロスをつけてくれた。少しましになった。販売員は「唇が強い色の場合は、メイク全体を変えなければいけない」と具体的には何も教えてくれなかった。こういうとき、しっくりくる販売員だと「こんな風にもできますよ〜」なんて話が盛り上がるのだが。
自分でつける時は、1)リップクリームを塗る 2)口紅を塗る 3)ティッシュオフ 4)グロスを塗る、というステップを踏むといいだろうと考え、口紅を購入した。下地用口紅は絶対に不要なので断り、グロスも家にあるので代用できるので断った。グロスはキレイな色だからかなり後ろ髪をひかれた。
今月も残業代は期待できないので、口紅を買うのが精一杯…。そんな私に追い討ちをかけるかのように外に出ると冷たい雨だった。
こんな皺くちゃな顔を見たくないから鏡もまともに見なくなり、もっと汚いばあさんになっていくんだろう。体もどんどん崩れていくから、服を買う気も薄れてくる。でも怖くても鏡を見なきゃだめなんだ。服も部屋着だけじゃだめなんだ。たまにカツを入れないとだめになりそうだ。一人で年を取るのは辛い。

買ったのは、限定色のコロマンデル。
店頭では匂いはしなかったけれど、家でつけてみたら、日本のよりはキツイかった。。。